アンケート調査で回収した有効票は
集計を行った後に報告書としてまと
めます。どのようにまとめたら良い
かアンケート調査の報告書のまとめ
方について説明します。
まとめられたアンケート調査の結果
は、ペーパーの報告書に加え、パワ
ーポイントなどで作成しスクリーン
に写して報告会を行うのが一般的で
す。
報告会には、クライアントの調査担
当者が参加して調査の結果を清聴し
質問などがあればその都度報告書に
質問をします。
アンケート調査結果のまとめ方(報告書作成の流れ)
調査票のチェック
調査票のチェックについてのポイン
トは以下の通りです。詳細について
は、集計する際の注意点での内容を
参照して下さい。
◇回収数:目標となる回収数がある
かどうか。無効票や余票
があるか。
(地域:性別:年代)
◇SA・MA・LA・その他・
フリーアンサーが、ルール通り記
入されているかどうか
◇異常値のチェック:数値項目で他
のものと比べ突出して高いもの
◇関連チェック:AならばB、Bなら
ばA 反応値をチェック(ブランチ
:枝分かれ質問での抜けを確認)
◇合計チェック:A+Bならば100と
なるような合計値のチェック
◇包含チェック:BはAに含まれる
(再生、再認のような質問で確認)
◇不明チェック:全員質問での抜け
をチェック(不明回答=DK)
◇ロジックチェック:例えば、「男
性の主婦」「未婚の主婦」「90代
の学生」というような回答の矛盾
がないかを確認
回答(選択肢)の数値化
調査票についているプリコード(選
択肢番号)は数字をそのまま入力し
ます。自由回答の場合、数値がない
ので回答をコード化(数値化)する
必要があります。
このコード化(数値化)する作業を
アフターコーディング(AC)と言
います。
具体的な方法は、エクセルに回答を
入力後、昇順または降順にて並べ替
えを行いその中からキーワードとな
る言葉をみつけ番号を振っていきま
す。
キーワードで再度フィルターをかけ
番号を振っていきます。キーワード
毎に繰り返し行い数値を入れます。
数値が入らない単体のものは「その
他回答」としてまとめ、空白の場合
は、回答拒否とし、質問にたいして
の内容が伴っていない場合には、D
K:(don’t know)不明とします
。また、回答数が少ない場合、フリ
ーアンサーは、コード化せずに内容
の似たような回答を並べ定性的にま
とめる場合もあります
回答の入力
回答は、集計するソフトに入力する
。(エクセル統計、Assums、SPS
Sなど)元データは、別々の人間で
2度打ちして検証するベリファイが
必要となります。
調査会社では、ベリファイは必須で
す。入力に際しては、段ずれや入力
ミスや漢字などの変換ミスに気を付
け、入力後は再度データをチェック
します。
調査票をチェックした際の項目を再
度、入力後に行いデータクリーニン
グを行う。
入力できたデータは、ローデータ(
Rowdata)となり集計の際の元デ
ータとなります。
郵送調査やWEB調査などによる対象
者自記入の場合、質問の抜けや、回
答不明、回答拒否などが出てくるた
め、あらかじめデータ入力の処理を
前もって決めておきます。
(例、抜けについては、サンプルを
除外するもしくは回答不明に処理す
る)
調査票内のその他項目や不明・拒否・
ヌケなどが、調査対象全数の10%を
超えて出現する場合、対象者に質問
の意図するところが伝わっていない
ことや調査票の設計に不備があるな
どが考えられるので再度聴取を行い
ます。そのようにならないようにプ
リテストを行って修正するとこの問
題も少なくなります。また可能であ
れば、収集する過程の中でリアルタ
イムにチェックし修正していくこと
が望ましいです。
集計
集計する際の注意点を参照に行います。
【単純集計】
集計をする際に、質問の項目通りに
合計を求める集計を単純集計と呼び
合計値をグランドトータル(GT)、
ホールカウント(HC)で表します。
【クロス集計】
与えられたデータの中から複数個の
項目を抽出して(分析軸)データ分
析や集計を行う手法のことです。
クロス集計を利用し複数の項目を掛
け合わせて集計すると、収集したデ
ータをさまざまな角度から分析する
ことができ、項目相互の関係を明ら
かにできます。
クロス集計は、表計算ソフトやデー
タベースソフトの主要な機能の1つ
で、例えば「男性」、「20代」、
「既婚」という項目を掛け合わせ
て集計できるため、年代や性別など
回答者の基本属性の違いによるニー
ズや行動様式の差異を分析するのに
向いています。
クロス集計で使用される項目は、2
~3個程度の項目である場合が多く
それより多くの項目を使用する場合
は多重クロス集計と呼ばれます。4
重クロス、5重クロスなどと個数で
示される場合もあります。なお、
簡易的なクロス集計は、エクセル
では、「ピボットテーブル」を使用
することで集計が可能です。
表・グラフ化
表やグラフの作成については、比較
する数値を視覚化し、わかりやすく
表現するために用います。項目が多
く数値が小さい場合にはグラフを用
いるとかえってわかりにくくなる場
合があるのでその際は、表などで大
きさを工夫します。
使用するグラフの種類としては、円
、帯、棒、などがあり、それぞれの
特徴は以下の通りです。
<円グラフの特徴>
統計図表としてビジネスやマスメディ
アで多く使用され。調査会社では、単
一回答シングルアンサー質問、対象者
属性(男女・年代・職業・年収)や選
択枝の少ないもので使用されます。
<帯グラフの特徴>
帯グラフは、円グラフと同様に各項目
の構成比を表すのに用いられます。帯
全体を100%として項目の構成比を、
帯を分割する長方形の面積で表します。
また、帯グラフを並べることで、項目
の構成比の変化を捉えることができます。
<棒グラフの特徴>
棒グラフは、縦軸にデータ量をとり、
棒の高さでデータの大小を表したグ
ラフです。
(縦横が逆の場合もあります。) 値
の高い項目や低い項目を判別するの
に有効なグラフで、データの大小が、
棒の高低で表されるので、データの
大小を比較するのに適していて項目
の多い複数回答(マルチアンサー質
問)で使用されます。
<その他のグラフ>
その他のグラフには、折れ線(時系
列を見る)、散布図(相関を見る)、
レーダー、面などがあり、質問内容
など必要に応じて使用されます。ま
た、グラフの組み合わせにより(複
合グラフ)多面的に分析することも
あります。
報告書
作成したグラフや表をもとに分析軸
の比較を行います。
報告書を作成する際に、分析する軸
を決めて述べていくことで一貫性の
ある報告書を作成することができま
す。分析軸は、一般的に、BtoCの場
合、対象者の属性である性別、年代
別、性×年代別、職業別、年収別な
どが使用され、BtoBにおいては、業
種別、企業規模別(従業員数)、部
門部署別、などが使用されます。
見方としては、質問の内容により、
高いものから見る場合、低いもの
から見る場合と内容により見方も
変わりますが、質問ごとに、高い
もの、低いものだけを単純に比較
して述べただけでは、一貫した報
告書にならないので注意します。
次に数値間の差を見ていきます。ただ
し単純に、差だけを見ていくのではな
く、その数値から “新しい発見や気づ
き” を見つけることが、報告書作成で
は最も重要となります。
そしてその“新しい発見や気づき”が報
告書全体を通して見た場合に、一貫し
ていえることであれば成功です。この
“新しい発見や気づき”がみつけにくい
場合には、その他さまざまな分析方法
でアプローチしてみると見つかる場合
もあります。
調査の設計段階で導き出したい仮説を
しっかりと立てていなければ、報告書
もこの“新しい発見”を見つけることが
出来ずに終わることもあります。
まとめ
今回は、調査結果のまとめ方について
説明しました。報告書の作成は、時間
がかかりますが、報告の際には、簡潔
にまとめたトップラインと詳細につい
て述べた各論とに分けて作成すると良
いでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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