アンケート調査を行い結果を正しく判断するために、統計学や確率の
知識が必要となりますが、今回は「確率」について具体的な問題を
見ながらやさしく説明します。
【アンケート調査】統計や確率について②
勘違いしやすい確率の問題
いきなりですが、次の問題を考えてみて下さい。
Q.「2枚のコインがあります。コインを投げて1枚が表でした。
もう1枚が表である確率はどうでしょうか?」
この問題では、答える方は頭にコインを思い浮かべ表裏を
想像し直感的に「1/2」と答えてしまいがちです。
しかし答えは「1/3」となります。どういうことか説明します。
2枚のコインを投げて出る可能性のある目をすべて書き出してみます。
① 表 表
② 裏 裏
③ 表 裏
④ 裏 表
上記の通り全部で4通りの目になります。そのうち1枚が「表」で
もう一枚が「表」になる組み合わせは
① 表 表
③ 表 裏
④ 裏 表
上記の3通りであり、よって答えは1/3となります。
では、直感で思った1/2となるのはどのような時か?
それは、問題が、100円と10円を同時に投げて100円が「表」の場合、
10円が「表」になる確率?で、この場合は、100円が表であっても
裏であっても10円が表になる確率は1/2となるわけです。
モンティホール問題
アメリカのゲーム番組の司会者に「モンティホール」という
日本でいうクイズミリオネアのみのもんたさんみたいな方が
いました。
このゲーム番組は3枚のドアがあり。その中の1枚に「豪華賞品」
が入っていて残りは「はずれ」というものでした。
司会者は、あらかじめどこのドアに当たりが入っているかを知っ
ていて、挑戦者が1枚のドアを選ぶと、残り2枚の中から外れの
ドアを開き挑戦者に尋ねます。
「今なら1度だけ、ドアを変えるチャンスを与えますがどうしますか?」
この時、挑戦者は変えた方が当たるのか変えない方が当たるのか
という問題となります。この問題は、有名で多くの方を悩ませた
問題です。
この問題を直感で考えると変えても変えなくても同じように思います
が、実際は、「変えた方」が当たる確率は高くなります。
こちらも説明します。
まず、先ほど同様、当たりのパターンをすべて書き出します。
※当たりドアは赤色です。
①ドアA当 ドアB外 ドアC外
②ドアA外 ドアB当 ドアC外
③ドアA外 ドアB外 ドアC当
説明しやすくするため今回は、実際のあたりを「ドアA」にします。
1回目にドアを開いて挑戦者が当たりを引く確率は、この時点では
「1/3」です。
では、2回目を開く際に挑戦者は、この問題である「①変える
②変えない」 という2つの選択肢があります。
「②変えない場合」は挑戦者がいずれかを選んでも変えないので
当たる確率は「1/3」のそのままです。
「①変える」場合はどうか?を考えます。(Aが当たりです)
「①変える」場合のパターンをすべて書き出します。
【パターン1 挑戦者が1回目でドアCを選ぶ時】
1回目挑戦者がドアCを選びました。司会者は当然当たっていないドアBを
開けます。挑戦者は変えるのが前提なのでドアCから「ドアAになり当たり」ます。
【パターン2 挑戦者が1回目でドアBを選ぶ時】
では、1回目で挑戦者がドアBを選びました。司会者は当然当たっていない
ドアCを開け、挑戦者は変えるので「ドアAになり当たり」ます。
【パターン3 挑戦者がドアAを選ぶ時】
最後に1回目で挑戦者がドアAを選びました。司会者は答えを知っているので
ドアBでもドアCでもどちらを開けてもはずれなので良いことになります。
挑戦者はドアAで当たっていたとしても変えるのが前提なので「はずれ」と
なります。
全てのパターンを書き出すと「①変える」場合は、3つのパターンの中で
当たりが出るのは2回となり「2/3」の確率になるわけです。
「変える」場合、挑戦者が外れをひくと当たるわけですから確率は2/3となり
ます。つまり挑戦者が、1回目外れであれば(パターン1と2)当たるわけ
ですから変えない場合の確率「1/3」と比べたら当たりやすくなるわけです。
司会者は意地悪で変える変えないかを聞くのではなく、挑戦者により確率の
良い選択を示しているのです。
まとめ
アンケート調査を行い、集計後に出た結果の数字が単純そうにみえても
リサーチャーは判断する際に直感だけに頼ってしまうと今回あげたような
例にもあるような勘違いをしてしまう場合があります。数字を判断する際
には、あらゆる可能性を考えてみることが重要です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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